化学繊維の種類
生地の基礎知識として、代表的な化学繊維の特徴をご紹介します。
□ ナイロン繊維
「石炭と水と空気を原料とし、鋼鉄と同じくらい強く、蛛の糸のように細く、しかし、どの一般的な天然繊維よりもはるかに弾性的な繊維」である、というキャッチフレーズの元、婦人用のストッキング(それまで素材は絹)に使用されたのが始まりです。のちに衣料全般に、現在では産業資材にまで広く用いられています。
ポリエステル繊維と比べて水分を吸収しやすく、水分を吸ったときの性能変化も比較的に大きいという欠点はありますが、酸性染料を使用することで鮮やかに染められる利点があります。
<長所>
① 強く軽くて柔らかいので、ニット類に向いている
② 伸度が大きく弾力性に富んでいるので、しわになりにくい
③ 合成繊維の中では比較的吸湿性があり染色性も良い
④ かさ高加工やプリーツ加工が可能である
<短所>
① 柔らかくてコシやハリがなく、紳士服などの外衣用の織物には向かない
② 耐光性が悪く、光にさらされ続けると強度低下する
③ 天然繊維やセルロース繊維に比べて吸湿性は小さい(乾きやすく長所でもある)
<用途>
① 衣料用としては靴下類(パンティーストッキングが多い)、スポーツウエア、水着など
織物はスキーパンツ(ストレッチ物)、防寒衣料など
② 産業資材用としてはタイヤコード、ロープ、ホース、ベルト、ネット、テント、シート、漁網、テグス
③ ほかにカーペット、傘地、カバン・ハンドバッグ地、ヘアブラシ、歯ブラシ、登山用ザイル、縫い糸
など、さまざまな用途で使用されます